2022年4月、育児・介護休業法の改正による新しい制度がスタートしたことで、男性の育児休業が以前よりも(制度上)取得しやすくなりました。
しかし、女性の育休取得と比べると、男性の育休取得はまだまだ一般的とは言えないのが現状。実際に育休を取得した男性の声を聞ける機会も限られているような気がします。
そこでこの記事では、2022年7~8月に1か月間の男性育休を取得した経験のある私の夫にインタビューを実施!
育休に入る前のこと、育休中の過ごし方、そして育休を経て得られたものについて聞いてみました。
「育休を取得するか迷っている」「育休中の過ごし方が気になる」などの疑問やお悩みをお持ちの男性だけでなく、夫に育休を取ってもらうか悩んでいる女性の方の背中を押せたら嬉しいです。
筆者夫のプロフィール
年齢 : 33歳
職業:会社員 / メーカー営業
妻が第一子出産後、生後2か月目となる2022年8月に1か月間の育児休業を取得。部署内で1か月間の育休取得は初めての事例。結婚前の一人暮らし期間が長かったことから、料理・掃除・洗濯などの基本的な家事には自信アリで、産前から家事の分担意識も高め。初めての育児を前に、図書館で育児本やイクメン関連書を何冊も読む勉強家。
育休を取ると決めた理由・期間の決め方
ーー何で育休を取得しようと思ったの?
「まず、家族で一緒に過ごす時間をしっかり取りたいと思ったのが一番大きかったかな。それから、妻の負担を減らしたい、そのために、そもそもどういうところに負担があるかを知りたいという気持ちもあった。あとは、会社に育休制度があるのに使われていなかったから、自分が制度を使うことで前例を作りたかったっていうのも大きかった」
ーー「家族で一緒に過ごす時間」については、平日夜とか週末に取れなくもないよね?
「会社の仕事が頭の片隅にある状態で過ごす家族の時間と、まったくない状態で過ごす家族の時間ってやっぱり違うと思う。育休を経験していなかったら、あまり余裕がなかったかも」
ーー心に余裕が生まれたからこそ今後のことが考えられたと。
「うん、そうだね」
ーー職場は、男性が育休を取得しやすい雰囲気?育休申請は切り出しやすかった?
「正直、育休について切り出しやすいかどうかはあんまり考えてなかった。笑 ただ、育休を取ることに対して上司や同僚から否定的な反応がくるとも思っていなかったなー。『周りにどう思われたとしても育休を取る!』と決めていたから、言いやすい・言いにくいはあんまり考えてなかった。
ーー〇〇くん(夫)らしいね。笑 まだまだ男性が育休を取ることが当たり前にはなっていない状況で、なかなか申請をする勇気が出ない人もいるみたいだけど…。
「『育休取ってもいいですか?』じゃなくて、『取ります!』という感じでいくしか。笑」
ーー今回、育休を取得する期間を自分で1か月と決めていたと思うんだけど、期間を1か月間にしたのは何で?
「職場で男性が育休を長期間取得した前例がないなかで、例えば仕事を離れる期間が3か月というのはちょっと長いかな?周りに負担をかけるかな?と、まず思った。とはいえ、2週間だと、長めに有給を取った感じと変わらないかな?と思って。だから間を取って1か月。やっぱり、会社側への配慮が大きかったかな。時期的に夏休みと重なることもあって、1か月だったらぎりぎり許容されそうという打算もあった。笑 そういう意味では、期間や時期について職場に無理難題をお願いしたわけではないんだよね」
ーーなるほどね。『周りにどう思われようとも育休を取る!』という心境ではあったものの、時期や期間については職場に対して結構気を遣ったんだね。
「女性の場合、妊娠した時点で産休育休の期間って決まるじゃない?でも、男性は取る取らない自体が自由。期間やタイミングも自分で選べる。だからこそ、取得する時に忖度が必要な雰囲気になっちゃう気がする」
育休に向けて準備したこと
ーー育休開始前に準備したことは?
「仕事の引継ぎの準備は入念にしたかな。引継ぎ資料を作ったり、育休中に携帯に連絡がこないように、お客さんとか上司とか同僚とか、社内外に根回ししたりはしたよ。『絶対(電話に)出ないですからね』って脅しに近いことを言った。笑」
育休中の過ごし方は?
ーー育休取得を検討している男性にとって、育休中にどう過ごすべきなのかは気になるポイントだと思うんだけど、実際にどんな過ごし方をしていたかを教えてください。
「まず朝起きて、子どもの朝の着替えをして、風呂洗いとか朝食作りとかをした。仕事は一切しなかったけど、朝食後は日経新聞を読んでニュースはチェックするようにしていたなあ。お昼ごはんは作る時もあれば作ってもらう時も。子どものお世話と家事以外に、育児本を読んで勉強したり情報収集したりもした。普段は仕事中心の生活だけど、育休中は子育て・家事が中心の生活になっていた感じ」
育休を経て得られたもの
ーー育休中に新たな発見はあった?育休を取ったからこそ得られたものはある?
「まず、『家族と過ごす時間を大切にしたい』と改めて思えたし、家事・育児に関して、自分にもできるという自信がついたかな。あとは、育休が明けて、普段の生活に戻った時に、どういう時間の使い方をすればいいのかを考えたり、奥さんと話し合うきっかけにもなった。仕事しながら考えることもできるかもしれないけど、個人的には一度立ち止まって考えるって大事だと思った」
男性が育休を取るメリット・デメリット
ーー男性が育休を取るメリット・デメリットについてどう考える?
「家族で過ごす時間や奥さんと会話をする時間が増えたのはよかったかな。奥さんと子育てについて話したり、将来のことを落ち着いて考えたりもできて。『それって育児と関係ないじゃん』って思うかもしれないけど、子どもの身の回りのお世話をすることだけが育児というわけではないと思うんだよね。今この瞬間に子どものお世話するのももちろん育児だし、長期的に子どもをどう育てていくべきかを考えたり、環境を整えたりするのもまた育児であって。子どもが生まれると、将来のことについてゆっくり夫婦で話し合う時間って案外取れなかったりもするから、それは自分にとって大きなメリットだった。デメリットは思い浮かばないなあ」
ーー〇〇くんは役所の申請関係、保育園見学のアポ取り、マイナンバーカードや銀行口座の開設とか、環境を整えるのに貢献してくれたよね。赤ちゃんのお世話をしながら、こういう事務手続き系を一人でやるのはかなりハードだから、助かった。デメリットは浮かばないってことだけど、社会人になってから、1か月連続で仕事から離れるのは初めての経験だったよね。仕事に戻った後はキャッチアップするのに苦労しなかった?
「メールはすごく溜まってた。笑 仕事復帰後、キャッチアップに時間を要してしまうのは極力避けたかったから、そこはスムーズに戻れるように出社する前の日にある程度インプットして、仕事の進め方を考えていたよ。結果的にそんなに苦労はしなかったけど、でも久しぶりの仕事になんとなく緊張はしたなあ」
男性が育休を取ることの意味
ーー男性が育休を取る意味についてはどう考える?
「育休を取ることで、男性が家事・育児に参加することへの動機付けになると思う。男性が育休を取ることへのハードルってまだ高いと思うんだけど、だからこそ、育休を取ると決めることで覚悟みたいなものが持てる気がする」
ーー育休を取るというアクション自体に意味があるというわけね。
「うん。諸々の手続きをして育休を取ることで『自分は育休を取ることを選んだんだ』という気持ちになるよね」
ーー最後に、育休取得を検討しているパパへアドバイスやメッセージがあればお願いします!
「しばらく職場から離れても、仕事は思ったより回るから育休取ろう!笑 あなたが1か月間会社にいないことで生じ得る不具合よりも、大切な時期に1か月間家にいることの価値の方が大きいはずだから、悩んでいるんだったら取った方がいい。きっと考え方が変わるきっかけになると思います」